#006 二十四節気を味わう 第二回 ─ 葉月の夕涼み 涼を紡ぐ和菓子と蒸留酒
2026年8月22日、千駄木「和菓子 薫風」にて、二十四節気を味わう「和菓子とスピリッツのマリアージュ会」第二回を開催しました。
テーマは、「葉月の夕涼み 涼を紡ぐ和菓子と蒸留酒」。
この日の東京は、大雨・洪水警報が発表されるほどの激しい雨。予定より少し遅れて会が始まりました。
ご参加くださった皆さまに、心より感謝申し上げます。
8月も下旬。暦の上では秋を迎えながらも、まだ夏の気配が色濃く残る頃。
今回は、夏の涼と季節の祈りを映した三つのお菓子、「苦瓜夢」「索餅」「蓮花求肥餅」をご用意いただきました。
最初に登場したのは、苦瓜夢(にがうりゆめ)。
苦瓜を蜂蜜とレモンで味付けし、寒天で固めた、涼やかな創作和菓子です。
洋の伝統的な食養生では、瓜類や苦味のある食材は夏の暑さに対応するものと考えられてきました。
また、酸味と甘味を組み合わせる「酸甘化陰」という考え方もあり、蜂蜜とレモンにも季節を健やかに過ごすための知恵が込められています。


苦瓜の青々とした風味とほろ苦さに、蜂蜜のやさしい甘みとレモンの酸味。
夏ならではの素材を生かした、薫風らしい一品です。
そして、このお菓子に合わせたのが、N°01 Coffee Spiritsを使った爽やかなカクテル。
氷を入れたグラスにN°01を注ぎ、トニックウォーターと炭酸水を半量ずつ加え、仕上げにオレンジの皮をツイストしました。
トニックのほろ苦さ、炭酸の爽快感、オレンジの華やかな香りが、コーヒーの芳醇な香りを軽やかに引き立てます。

そして、このカクテルと苦瓜夢が、驚くほどよく合いました。
苦味、甘味、酸味が美しく調和し、爽やかな余韻へとつながっていきます。
意外な素材同士が出会うことで生まれた、今回一番の発見でした。
続いて、索餅(さくべい)と蓮花求肥餅(れんげぎゅうひもち)が、それぞれの器に盛られ、お盆にのせて一緒に供されました。
この二つのお菓子には、N°01 Coffee Spiritsをストレートで。
最初のカクテルとはまた違う、N°01本来の香りと余韻をじっくり味わっていただきました。
索餅は、小麦粉と米粉を練り、縄状にして油で揚げた、古い歴史を持つお菓子です。
古代中国では、七月七日に索餅を供えることで疫病が鎮まったという伝説があり、無病息災を願う行事食として広まりました。
日本でも奈良・平安時代の宮中行事で七夕に供えられ、やがて糸に見立てたそうめんを供える習慣にもつながっていったとされています。
香ばしく素朴な味わいの中に、はるか昔から受け継がれてきた季節の祈りが息づいています。
この索餅とN°01 Coffee Spiritsの相性の良さも、嬉しい発見でした。
油で揚げた小麦と米粉の香ばしさに、コーヒーの焙煎由来の香りが心地よく重なります。
揚げ菓子のふくよかなコクと、スピリッツの澄んだ味わい。その対比が、索餅の素朴な甘みを一層引き立ててくれました。

一方の蓮花求肥餅は、夏に咲く蓮の花びらを、やわらかな求肥に練り込んだお菓子。
ほのかに漂う蓮の香りと、花びらのやさしい食感が特徴です。
泥水の中から茎を伸ばし、清らかな花を咲かせる蓮は、仏教では智慧と慈悲の象徴とされてきました。
お盆の由来として伝わるのは、お釈迦様の弟子、目連尊者が、亡き母を苦しみから救うため、教えに従って僧侶たちに供養を行ったという故事です。
蓮の花と先祖を敬う心。
夏の和菓子に、日本の季節の文化が静かに映し出されています。
求肥に練り込まれた蓮の花びらのほのかな香りに、N°01のキタコブシ由来のやさしい花のニュアンスが重なります。
蓮の清らかな香りと、北海道の森に育つキタコブシの香り。異なる土地で育まれた二つの植物の個性が寄り添い、やわらかな求肥の甘みとともに、繊細な余韻を感じさせてくれました。

小さなテーブルを囲み、和菓子の由来に耳を傾けながら、それぞれの香りや味わいについて会話が弾みます。
夏の苦味を瑞々しく仕立てた苦瓜夢。
七夕の無病息災を願う索餅。
お盆の祈りを映した蓮花求肥餅。
三つのお菓子を通して、八月のさまざまな表情に触れる時間となりました。
二十四節気をたどるこの会。
季節が巡るたびに、和菓子とスピリッツが織りなす新たなマリアージュを、皆さまと楽しんでいけたらと思います。
次回もどうぞお楽しみに。
和菓子薫風
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