#005 二十四節気を味わう 第一回 ─ 夏夕を渡る青田風
2026年7月25日、文京区千駄木の「和菓子 薫風」にて、和菓子とN°01 Coffee Spiritsのマリアージュを楽しむ会を開催しました。


テーマは、「夏夕を渡る青田風」。
青々と育った稲の上を渡る風のように、夏の暑さのなかにも、ふと涼しさを感じる夕暮れの時間。
季節の和菓子を味わいながら、N°01 Coffee Spiritsの香りを重ね、二十四節気の移ろいを五感で感じていただく企画です。
今回は、これから二十四の季節をたどっていくシリーズの第一回。
小さなテーブルを囲み、9名のゲストとともに、ゆっくりと会が始まりました。
この日ご用意いただいた和菓子は、夏の季節と七夕にちなんだ二つのお菓子です。

ひとつ目は、土用餅。
土用餅は、滑らかに搗いた餅をこし餡で包んだ、素朴なあんころ餅です。
今回はその餅に文旦のピールを混ぜ込み、こし餡で包んだ、薫風ならではの仕立てとなりました。
夏の土用に小豆を食べる習慣には、赤い色で邪気を払い、暑い時季を健やかに乗り切る願いが込められています。
その起源は平安時代の宮中行事にまで遡り、当時は暑気あたりを防ぐため、ガガイモの葉を煮出した汁で練った餅を食べていたと伝えられています。
やがて江戸時代に砂糖が広まり、現在のような、餡で餅を包む姿へ変化していきました。
なめらかな餅と、端正な甘さのこし餡。
その中から、文旦ピールのほろ苦く爽やかな香りが立ち上がります。
N°01 Coffee Spiritsをひと口重ねると、
こし餡の甘みにコーヒーの香ばしさが寄り添い、文旦の苦味が後味を軽やかに整えていく。
餡のふくよかさを残しながら、口の中がすっと涼しくなるような組み合わせでした。

もうひとつは、七夕をテーマにした上生菓子、「願い糸」。
黒糖餡にココナッツミルクの錦玉羹を鋳込み、青、赤、黄色を散りばめた求肥で包んだ、色鮮やかな一品です。
七夕には、詩歌や機織り、芸事、書道などの上達を願い、五色の短冊や糸を笹竹に飾る習わしがあります。
五色は、中国の陰陽五行に由来する緑・赤・黄・白・黒。
それぞれは「仁・礼・信・義・智」という五徳にも通じます。
今回は、求肥の白に青、赤、黄色を散らし、中の黒糖餡で黒を表現することで、味わいだけでなく、召し上がる方への五徳への願いも込められました。
青磁色の器の上に置かれた、透き通るような求肥。
その向こうに、黒糖餡の深い色がわずかに透けて見えます。
ひと口いただくと、まず求肥のやわらかさ。続いてココナッツミルクのまろやかな香りが広がり、最後に黒糖餡の深い甘みが残ります。
そこへN°01 Coffee Spiritsを重ねると、黒糖のコクとコーヒーの香りが自然に結びつき、甘さの奥から、キタコブシのほのかな花のニュアンスが立ち上がりました。
ココナッツの柔らかな甘み、黒糖の深み、コーヒーの香ばしさ。
異なる要素が一つずつほどけながら、静かにひとつの余韻へとまとまっていきます。

会場では、和菓子とスピリッツを合わせることに、最初は少し意外さを感じていた方もいらっしゃいました。
けれど、実際にひと口ずつ重ねてみると、
「とてもよく合う」
「餡の甘さが重たくならない」
「コーヒーの香りが和菓子の余韻を長くしてくれる」
といった声が、自然に聞こえてきました。
和菓子の甘みをスピリッツが切るのではなく、甘みの中にある香りや素材の表情を、別の角度から見せてくれる。
私たちにとっても、N°01 Coffee Spiritsが和菓子と重なることで、想像していた以上に多彩な表情を見せてくれることを、あらためて確かめる時間となりました。
今回の会で印象的だったのは、味わいだけではありません。
一つのテーブルを囲み、和菓子の由来に耳を傾け、スピリッツをひと口含み、それぞれが感じた香りや余韻を、自分の言葉で話していく。
誰かの感想をきっかけに、別の方がもう一度グラスを手に取る。
そこからまた新しい発見が生まれ、会話が次々と広がっていきました。
初めて顔を合わせたゲスト同士の話も自然に弾み、テーブルは終始、あたたかく和やかな空気に包まれていました。
季節を味わうこと。
和菓子とスピリッツを味わうこと。
そして、その体験を誰かと言葉にすること。
それぞれが重なり合い、この場所でしか生まれない時間になったように思います。

終了後には、「次回もぜひ参加したい」という嬉しい声も多くいただきました。
二十四節気は、一年を二十四の小さな季節に分けた暦です。
季節が移るたび、和菓子の色や姿、使われる素材も変わります。
そして同じN°01 Coffee Spiritsも、合わせる甘味や温度によって、また違う表情を見せてくれるはずです。
これから二十四回を通じて、和菓子とスピリッツが描く季節の風景を、皆さまと一緒に見つけていけたらと思います。
N°01 Coffee Spiritsは、特別な日のためだけの一杯ではありません。
羊羹や最中、あんこのお菓子とともに。
いつもの食後や、少し静かに過ごしたい夜にも。
ご自宅でも、和菓子とのマリアージュをぜひお試しください。
和菓子薫風
https://www.wagashikunpu.com
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